データ基盤やAPIを備えたMONETプラットフォームの狙い


MONET Technologies 技術本部 システム部 システム開発課 課長 永井泰裕氏[インタビュー]


MONET Technologies株式会社(モネ・テクノロジーズ)は2020年4月27日から、企業や自治体向けにMaaSの実現を支援するためのデータ基盤やAPIなどを備えたMONETプラットフォームの機能を拡充し、本格運用を開始した。

このMONETプラットフォームと、新たにプレオープンしたMONETマーケットプレイスの狙いについて、MONET Technologies技術本部 システム部 システム開発課 課長の永井泰裕氏に聞いた。

Date:2020/06/24


※この記事はレスポンス(Response)より提供いただき掲載しています。

 


MaaSのプラットフォーマーになることを目指している

---:「MONETコンソーシアム」、「オンデマンド交通」、「プラットフォーム」など、MONETさんはいろいろな活動をされていますが、一番力を入れていることは何ですか?

永井氏:MONETは、MaaSのプラットフォームの構築、プラットフォーマーになることを目指しています。

近い将来、無人の自動運転車が走る時代を迎えるだろうと予測されています。そうした将来を見据えて、自動運転車を使って、目的地への移動やサービスを組み合わせて新たなバリューチェーンを創造する必要があると考えています。そして新たなライフスタイルの提案と社会の最適化を実現したいと考えています。

現在の地域生活を支えるバスやタクシーといった移動手段は、買い物、医療などのサービスと分離して考えられています。さらにドライバーの人件費や車両コストの占める割合が多く、持続可能な仕組みになっていないことが課題です。たとえば、スーパーで買い物をすると駐車場代が無料になるのであれば、その駐車場の維持管理費やサービス料を支払っている費用で、シャトルバスを出すという考え方もあるのではないでしょうか。

そのためにも、地域をマネジメントしている自治体や、地域のモビリティサービスを担っている交通事業者、サービスなどを提供するさまざまな民間企業との連携に加え、その基盤となる情報のプラットフォームの構築が必要です。

イメージはプラットフォームビジネス

---:どのようなプラットフォーマーを目指されていますか

永井氏:新しいモビリティサービスやMaaSを実現するための、いろいろな需給をつなげるプラットフォームビジネスをイメージしています。MaaSの定義は、日本国内では広義と狭義がありますが、MONETが対象としているのは広義のMaaSです。広義に狭義は含まれていると考えています。

移動やサービスを組み合わせるためには、プラットフォームが必要です。需給をつなげ、新たなライフスタイルを提供することで、やがてはエネルギーの最適化やスマートシティへと広がっていくと考えています。

実証実験は15件、サービスインも進む

---:これまでの活動実績は?

永井氏:MONETはソフトバンクの他に、トヨタ自動車をはじめとする自動車メーカー計8社が出資し、各社の強みを生かして事業を行っています。MONETのスタッフは、出資会社などから構成されていて、営業、渉外、技術開発など約100人です。
また、MONETコンソーシアムの加盟企業は多種多様な500社超に上ります。

実証実験も進んでいます。すでに会話をしている自治体数は430を超え、その中で覚書などを締結した自治体は約60です。また、サービスインを目指して実証実験を行った自治体は累計15件、サービスインした自治体は5件に上ります。(2020年3月末時点)

新たなライフスタイルの創造に向けても取組みが進んでいます。

MaaSを作る際に必要な道具を提供していく

---:2020年4月27日にプレスリリースされた、企業や自治体のMaaSの実現を支えるMONETプラットフォームのMONETマーケットプレイスとは?

永井氏:これまでオンデマンド交通を中心に、数多くの課題解決に取組んできました。その経験を通して、MaaSを実現する際に、どのような道具(車両情報、交通情報、決済、チケット、天気、旅行情報などのデータ)が必要か分かってきました。

MONETが一つ一つの課題を解決するために都度システムを開発するのでは、いくら時間があっても足りませんし、ビジネスとしてもスケールしません。そこで課題解決や新しいライフスタイルづくりに必要な道具をディベロッパー向けに揃えて、自由に創造して頂きたいと考え、MONETマーケットプレイスを立ち上げました。

まずはMONETコンソーシアムの加盟企業でシステム開発などを行っている企業向けに、APIを試験的に無料提供しています。API連携の費用は現在検討中です。今後は、提供する対象をどこまでとするのか、例えば学生などの個人も使えるものにするのかなど、検討していきたいと考えています。

新型コロナウィルスの影響

---:新型コロナウィルスの影響は?トヨタWoven City(ウーブン・シティ)との連携は?

永井氏:ニーズとして、長野県の伊那市で実証実験を行っている医療MaaSなどの遠隔サービスの相談や、フードデリバリーなどについて問合せが増えています。

またMONETコンソーシアム加盟企業の中には、検温ソリューションをもっているところもあるので、そのようなコロナ対策に資する技術やサービスを持つ企業とも積極的に連携していきたいと考えています。

一方、やはり自治体の観光関連の事案は、タイミング含めて後ろ倒しになっています。コロナ前の想定と大きく変わってしまっているからです。

トヨタWoven Cityとの連携については、現時点で決まっているものはありません。

《楠田悦子》

 

 

この記事をレスポンス(Response)サイトで読む

◆オンラインセミナー「コロナ時代のMaaS/DX/物流~Hacobu、ZMP、MONETの戦略~」が6月30日に開催されます。詳しくはこちら

 

 

 

 

コメントは受け付けていません。