[レポート] 自動車ビジネスは情報技術の役割をどのように見直しているのか


Car IT 101: デジタルへの転換


クルマはもはや単なる鉄とゴムの塊ではなく
シリコン データ 人工知能 イノベーション
の集合体である

2017/10/11

※ この記事はSBD Japanよりレポートの一部を提供いただき、掲載しています

 

自動車技術の革新

 情報技術の役割は、様々な分野においてそれぞれ大きく異なるスピードで拡大している。役割の拡大という面で自動車業界は、他の運輸業界と比較しやや遅れていると言える。自動車メーカーの大半では、大規模な IT システムが工場や在庫のデータの処理を行い、ビジネスサプライチェーンを直接サポートしてきた。大量のデータセットやフィードの管理には大型のメインフレームシステムが使われるため、情報技術部門は大規模で鈍重となり、企業にとっての単なる運用コストと位置付けられた。

 コネクテッドカーや自動運転車の登場により、この考え方は大きく変わった。クルマはもはや単なる鉄とゴムの塊ではなく、シリコン、データ、人工知能、イノベーションの集合体となった。自動車業界では、20 年という歳月をかけコネクテッドカーの開発にあたってきたが、業界において IT の重要性が広く認知され始めたのは、ついこの 5 年から 10 年の間だ。

 

More Than a Car
OEM の大半が、変更にかかるコストの高さに驚く…

 コネクテッドカーがメジャーとなったとき、大部分の OEM ではコネクテッドカーは商品としてサービスプロバイダに外注すべきであると考えた。こうした OEM では、外注先のサービスプロバイダによる投資を基に、または OEM によるサービスプロバイダへの投資を通じ、最初のサービスをリリースしたのちには、ある年式のクルマについてイテレーティブ開発(反復型開発)を行うたびに新サービスや差別化するためのサービスを導入することができるだろうと見ていた。

 ところが現実は異なり、OEM の大半が変更にかかるコストの高さに驚き、多くのサービスプロバイダがコネクテッドカープラットフォームを複数カスタマイズして導入することを余儀なくされた。このため、エンドユーザーの利便性向上のために使うべき投資がそうしたプロセスに流れる傾向が生まれた。

 これに、分析、モビリティサービス、自動運転車向けインフラ、IoT の統合、包括的な CRM システムをサポートすることの複雑さが加わり、多種多様な企業情報技術エコシステムが生まれた。その結果、複数のベンダーの存在や積み重なる統合により、変更に非常に大きなコストがかかるようになった。自動車 OEM の情報技術およびコネクテッドサービス・チームの本来の責任範囲は単にコネクテッドサービスをリリースし、競争力の維持と差別化を図ることであり、こうした複数のプラットフォームを管理するような機能はなく、その未経験な分野の最適化は大きな課題となった。

 

デジタルへの転換: 内製、外注、その中間

Make no mistake: 自動車業界が現在直面しているのは、気が遠くなるような変化だ。今後も時代に即した企業であり続けたいと望む自動車メーカーにとっては、最新の IT インフラによって実現した製品、洞察、機敏性が鍵となる。

Consider this: 2025 年までに米国で販売されるすべての新車の 3 割以上が、テレマティクスユニット、インフォテイメントユニット、インストルメントクラスタ、パワートレインコンポーネントなどを含む各種車載コンポーネントの OTA アップデートに対応すると SBD では予測している。同技術を効果的に活用するためには、新たな革新的サービスの開発と導入が可能な包括的かつ迅速なコネクテッドカープラットフォームの存在が欠かせない。インタラクティブでシームレスな製品開発戦略を策定することにより、OEM 内の様々なステークホルダーはダイナミックに変化する自動車市場に迅速に対応することが可能となる。

 

OTA に対応する新車の割合

出典: SBD レポート 「コネクテッドカー市場予測」

 

 デジタルへの転換を実現するために必要な投資を行うということに関して言えば、議論はたいてい 「開発する」「買う」 という言葉に集約される。大部分の OEM では単に既成のアプリケーションを購入し、コネクテッドサービスをサポートする。しかしながら、迅速でコスト効率の良い変更を通じたビジネスのサポートがますます戦略的に必要となっていることから、OEM の考え方も変わってきた。

 ソリューションを購入するのではなく、開発することを選択する OEM が増加している。SBD では、内製や外注という観点からこれについて議論している。OEM がコンポーネントを内製することを選択した場合、自社の開発部門やマネージドサービスなどを活用し開発を行うことになる。このアプローチのメリットとしては、OEM は開発するプラットフォームやアプリケーションを直接管理および所有することができる。主なリスクは、既成ソリューションと同じ水準の品質と性能を実現するためには時間がかかる可能性があるということだ。また、先行投資が非常に高額となるにも関わらず、サービスプロバイダからはすでにより高品質・低価格なソリューションが提供されている可能性がある。

 

技術パートナーシップのエコシステム

 

 OEM が外注することを選択した場合、既成の、または設定可能なアプリケーションをセカンドパーティー・サービスプロバイダから入手することになる。テレマティクスサービスプロバイダがこのモデルに当てはまる。テレマティクスサービスプロバイダは、事前に開発されたプラットフォームを既成のコネクテッドサービスに提供する。このアプローチの利点には、プラットフォームがすでに開発されていることを考えると、実装の初期コストが低減できることや、プログラム全体のリスクが最小限に抑えられることがある。しかしながら、ソリューションが多数の既成ソリューションで構成されている場合、のちにそうしたコンポーネントへ変更を加えるには高額なコストと時間がかかるうえ非常に複雑であり、新たなサービスや機能を追加することが困難となる。

 

 

執筆者:Alex Oyler
SBD Automotive Car IT部門責任者
自身の経験を活かし、自動車業界において情報技術とイノベーションを通じた顧客の目標実現支援を目指す。ソフトウェア開発のライフサイクル全体を通じ、ビジネスケースの確立や技術選択支援、業界最大の課題である OTA アップデートやサイバーセキュリティ、ビジネスプロセスのアウトソーシングなどについての調査研究に携わる。

SBD Automotive は、コネクテッドカーおよび自動運転車向け技術を専門とし、情報技術に関する戦略的および戦術的取り組みを支援しています。

本レポートの詳細やサービスなどについてのお問い合わせ先: SBD Japan

 

コメントを残す