10月14日にクルマ塾が主催する「レジェンド講演会」が東京都恵比寿のSUBARU本社ショールームで開催された。会場には大勢のSUBARUファンが集結、レジェンドたちによる開発秘話に聞き入った。
Date:2018/10/16
Text & Photo:ReVision Auto&Mobility編集部
クルマ塾は長年活躍する自動車ジャーナリストを中心に構成される非営利組織だ。その基本理念として「クルマを生活者視点で「捉え」「伝え」「提言」していく場」を掲げる。東京モーターショー2017で開催したスペシャルディスカッションを皮切りに、自動車業界に貢献してきたレジェンドたちを講師に招いて講演会を開催している。
今回は講師として、水平対向エンジンの開発に携わった元・富士重工業常務執行役員の工藤一郎氏と、歴代のレガシィの開発に携わり、現在はスバルの伝道師として情報を発信する大林眞悟氏を迎えて講演を行うとともに、後半はモータージャーナリストの清水和夫氏と竹岡圭氏も加わって賑やかなトークセッションが開催された。
初めに登壇したのは工藤氏。実際の現場で使用した貴重な図面や懐かしい写真を披露しながら、レガシィプロジェクトでのさまざまなエピソードを語った。水平対向エンジンだけでなく、パワーユニットやトランスミッションにも話題が広がり、他では聞けない貴重なエピソードに来
場者は聞き入っていた。
続いて登壇した大林氏の講演タイトルは「安全と愉しさの系譜」。今年発売60周辺のスバル360からレガシィへと続く開発の変遷を中心に、衝突安全テストの様子や排気ガス対策などについて語った。
後半のトークセッションではラリーやレース、電動化や燃料電池などの環境技術、インホイールモーターの可能性なども話題になった。
モータージャーナリストの清水氏はスバルの意外な顔として「デジタルエンジニアリングに熱心で、数字にならないと腑に落ちないエンジニアが多い。東京で食事をしていても、『いまスパコンを動かしていて、夜中に結果が出るんです』と言って、夜遅くに群馬まで帰って行ったエンジニアがいる」というエピソードを披露した。
また、航空機の技術も話題になった。工藤氏は「航空機は強度が重要なので、その技術を使って(燃料電池車に使う)高圧水素のボンベに作ってもらおうとしたことがあるが、航空機チームに見積もりを出してもらったら、自動車に使うにはコストが100分の1くらいじゃないと見合わなかった」と、当時を思い出して苦笑。航空機の高スペックを支える背景が垣間見えられたエピソードだった。
トークセッションの最後はQ&Aコーナーだった。来場者はスバルへの熱い思いを交えながらレジェンドに質問し、レジェンドもその思いやアイデアを受け止めながら回答。両者の心温まる交流のひと時となった。
次回のクルマ塾は12月2日に東京お台場にあるトヨタのMEGAWEBで開催予定だ。