過去10年間で、自動車業界が開発する製品だけでなく、さまざまなコネクテッドサービスやチャネルを通じて業界が顧客にコンタクトできる潜在的な方法にも大きな変化が見られた。車両のデジタル化をめぐるこの競争により膨大な数の技術革新が生まれている一方で、主な焦点が開発に置かれ消費者が置き去りとなるリスクもある。イノベーションは消費者に歓迎される一方で、変革の速度へ順応するのには時間を要するものだ。2020年はパンデミック が消費者行動の変化を後押ししたことで、イノベーションが受け入れられたと言える。
2020/11/25
※このレポートはSBDより提供いただき掲載しています
SBD Automotiveでは、パンデミックによって変化した消費者生活が自動車業界にどのように影響するのか、近い将来開発・投入される製品がどのように認識され受け入れられるのか、業界が開発中の新たなサービスの価値は消費者にどのように捉えられるのか、ということについて北米自動車市場において広範な調査を2020年9月に実施した。
具体的には、6ディーラーへのインタビュー調査、10の1対1のユーザーインタビュー、そして、1019人を対象としたウェブアンケートにより、コロナ禍で変化した車の購入体験や、車に欲しい機能とその支払い意欲、各ブランドに対するイメージとその理由、等について調査している。
この調査の結果明らかになった点で興味深いのは、オンラインセールスやツールが進化しているにもかかわらず、消費者が依然として車両購入プロセスの中のいくつかのポイントでは、ディーラーに行くことが重要であると認識していることである。また調査の中では、日常の買い物に関する行動、今後の意向についても質問している。
調査の中では、車両に搭載される代表的な機能の中でどのようなものがFaaS(Function as a Service)形態に適しているかを考察する質問も設けた。車両の代表的な機能に対して、消費者はどの程度の興味があるのか、その機能に対して支払い意欲はあるのか(いくらなら払うのは妥当だと思っているのか)、サブスクリプション形態で提供されたときにはその興味レベルと支払い意欲は変わるのか、といった質問である。この結果、少ないながらもある程度の機能はFaaS形態での提供に可能性を見出せることが分かった。
ブランドイメージに関する調査では、米国の消費者は、車両に搭載される機能を見て客観的にブランドに対して評価を下すことはあまりないことがわかった。サービス提供数とデジタルイノベーションのイメージが比例しないブランドが多くみられるなか、Teslaは提供数は少ないもののデジタルリーダーシップのイメージを確立している。調査ではこの要因についても分析している。
調査全体を通じて見えてきたのは、COVID-19によって消費者の購買行動の一部が変化したが、これはディーラーが今後直面するであろう変化の始まりに過ぎないということである。
SBDでは、12月10日(木)ReVision Auto&Mobilityの開催する無料WEBセミナーに登壇、前述の北米のディーラーおよび消費者調査から見えてくる最新トレンドと、いま必要なアクションについて詳細に解説する。ウェビナーでは、デジタル化によって消費者から求められるディーラーへの役割の変化に加え、ソフトウェアディファインドビークル時代を見据えたFaaSの可能性についても考察する。
◆無料公開ウェビナー 「コネクテッドカーに関わるテクノロジーの広がりと消費者動向を捉える ― 最前線の開発現場と、北米のディーラー・消費者リサーチから ―」
村松 寿郎氏(日産自動車株式会社)×大塚 真大氏(SBD Automotiveジャパン)
SBDについて
英国を本拠とする自動車技術の調査・コンサルティング会社。1995年の創業以来、日本、欧州(英国とドイツ)、米国、中国の拠点から自動車業界に携わるクライアントをグローバルにサポートしている。クライアントは自動車メーカー、サプライヤー、保険業界、通信業界、政府・公的機関、研究機関など自動車業界のバリューチェーン全体にわたる。調査対象エリアは、欧州、北米、中国、ブラジル、インド、ロシア、東南アジアなど世界各国の市場を網羅。自動車セキュリティおよびIT、コネクテッドカー、自動運転などの分野において調査を実施、各種レポートやコンサルティングサービスを提供する。>>ウェブサイト