Tractica社とTU-Automotive社によるコネクテッドカーと自動運転車に関する調査


 市場情報分析のリーディングカンパニーであるInforma傘下のTracticaとTU-Automotiveが共同で、自動車産業参入企業や技術プロバイダーを対象としたオンライン調査を2018年12月に行った。この調査の目的は、コネクテッドカーや自動運転車の開発が進む中、自動車業界のエコシステムに携わる様々な分野の組織が自動車産業の重要課題をどのように認識しているのかという理解を深めるために有用な情報を提供することである。
 自動車メーカー、技術プロバイダーや自動車部品メーカー間において重要視するトピックが異なった結果であったり、地域別による差異なども見られるという興味深い結果も得られている。今回は、この調査結果レポートを紹介する。

Date:2019/05/09


※このレポートはGlobal Informationより提供いただき掲載しています。

 

 このオンライン調査は、TU-Automotiveのデータベースにある世界各国の自動車業界参入企業に対して、電子メールにて調査への参加を依頼する方法がとられた。得られた回答のなかから不完全なものや条件に適合しないもの、疑問の余地がある回答などを除外するデータクレンジングプロセスを経て、最終的な有効回答数は515件となった。

 このオンライン調査では、自動車業界に関連する40のトピックや構想のリストを回答者に提示し、回答者は自身の職務や所属する組織にとっての重要度を点数で評価した。

 この調査では、世界のさまざまな地域の組織を対象とした。最も多かったのは北米地域 (主に米国) の組織で全体の42%、次が欧州・中東・アフリカ (EMEA) 地域の組織で39%、残りがアジア太平洋地域の組織で19%である。

 また、業種も多岐にわたり、自動車メーカー13%、自動車部品メーカー14%、技術プロバイダー (ハードウェア、ソフトウェア、半導体/部品のメーカーやソフトウェア/アプリケーションの開発企業) 13%で、テレマティクスサービスプロバイダー、保険会社、システムインテグレーター、政府機関など、自動車業界と何らかの関わりがある上記以外のさまざまな分野の組織も含まれている。

 回答者の多くは管理職や技術職であり、37%が経営管理や戦略的な役職、33%が技術職に就いている。

1. 調査質問と回答の選択肢一覧

質問1:現在従事している組織の業種は何ですか?

 

 

 

 

 

 

 

質問2:組織内での役職は何ですか?

 

質問3:組織の所在地はどこですか?

 

質問4:ご自身の職務と所属する組織にとって以下のトピックが持つ重要性を5段階で評価してください。

 

2. 回答全体

2.1 回答者のプロフィール:地域区分

 

2.2 回答者のプロフィール:職務

 

2.3 回答者のプロフィール:所属組織の業種

 

2.4 重要度トップ10:全回答者

質問:ご自身の職務と所属する組織にとって、以下のトピックが持つ重要性を評価してください。

 トピックの重要度に関する回答者全体のデータでは、サイバーセキュリティの脅威が自動車業界にとって最も重要な課題と認識され、先進運転支援システム(ADAS)の継続的な開発が僅差で2番目という結果となった。

 トピックの重要度ランキングが業種によってどのように変動するのかを次の項以降で説明する

 

3. 業種別トピック重要度

3.1 重要度トップ10:業種別データの概要

 

3.2 重要度トップ10:自動車メーカー

 自動車メーカーの回答者は、ADASの継続的な開発を最も重要なトピックとして認識している。
 また、コネクテッドカーサービスと自動車向け人工知能も重要視しており、車両販売による収入のほかに、デジタル技術のエコシステムからの収入もビジネスチャンスとして認識していることを示している。

 

3.3 重要度トップ10:技術プロバイダー

 技術プロバイダーの回答者の間では、コネクテッドサービスとサイバーセキュリティの問題が最も重要なトピックとして認識されている。自動車が周囲の世界を感知、意図を伝達、そして状況の認識能力を得るには、セルラー通信技術が鍵となると考えられていることを示唆する結果となっている。

 

3.4 重要度トップ10:自動車部品メーカー

 

 自動車部品メーカーの回答者は、顧客である自動車メーカーときわめて近いトピックの重要度認識を持っている。

 自動車メーカーと自動車部品メーカーの回答者はともに、ADASと自動車向けAIを重視している。しかし、自動車部品メーカーは他の業種に比べ、センサーネットワークを重要視する傾向が強い。

 

4. 地域別重要度

4.1 重要度トップ10:地域別データの概要

 

4.2 重要度トップ10:北米

 北米地域では、コネクテッドカーとサイバーセキュリティの問題が最重要トピックとして認識されている。また、この地域では、消費者データの機密性がトップ5に入っており、他の地域にはない特徴となっている。この背景には、自動車業界及びプライバシーに関する規制が比較的緩い地域における大規模な変化の促進要因としてセルラー通信技術が認識されているという事情がある。

 

4.3 重要度トップ10:EMEA

 EMEA地域では、他の地域で重要視されているコネクテッドカーやAIなどのトピックよりも、V2VやV2Xを重視し、コネクテッド自動車システムの側面としてのIoTや高度道路交通システムに注目が集まっていることをうかがわせる結果となっている。

 

4.4 重要度トップ10:アジア太平洋

 アジア太平洋地域では、コネクテッドカーに関する各種の構想よりもADASを著しく重視している。また、ADASの次に、ヒューマンマシンインタラクションを重要視しているのは、興味深い結果である。

 この地域でのランキングは、自動車メーカーと類似の傾向を示しており、アジア太平洋地域の回答者の多くが自動車メーカーの関係者であることを示している。

 

5. 職務別重要度

5.1 重要度トップ10:経営管理

 

5.2 重要度トップ10:技術/エンジニアリング

 

 

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