「エンジニア3万4千人の革新の力を結集」 コンチネンタルCTOインタビュー


 メガサプライヤーとして自動運転やコネクテッドカー、Eモビリティなど様々な分野で積極的な取組みを進めている独コンチネンタル。同社CTOとして多くの技術領域を束ねるクルト・レーマン氏に自動運転やHMIに関するアプローチや考えを聞いた。

2017/11/22

聞き手: 大森 真也(住商アビーム自動車総合研究所代表取締役社長)
林 愛子(株式会社サイエンスデザイン代表)

 

 

―― コンチネンタルでは、電動化と自動運転、コネクテッドを大きな3つのアジェンダと捉えて取り組んでいると思いますが、それぞれについてお尋ねできますか

レーマン氏: 自動運転とコネクティビティには、サービスやHMIなど数多くの関連した技術領域がある。安心して運転できる状態をいかに担保していくかという意味においては、ドライバーの健康状態や心理状態も把握する必要がある。CO2削減という意味では電動化も重要な要素。コンチネンタルとしては、それぞれ別個に取り組むのではなく、包括的に対応していきたいと考えている。

コンチネンタルのCTOとして技術領域を束ねるクルト・レーマン氏 (C)Satoru Nakaya

 

すべての面における単独リーダーはいない

―― ドイツは産官学連携が進んでいてデファクトスタンダードづくりがうまい、と日本ではよく言われます。また、日本はソフトウェアの面で遅れているのではないかと危機感を持っている人も少なくないようです

レーマン氏: 日本がドイツから吸収できる点もあると思うが、逆に我々が日本から学ぶこともたくさんある。例えば、ハイブリッド技術をリードしてきたのは日本の自動車メーカーだった。多くの技術革新が日本から生まれているし、品質に対する高い意識、といった点も我々が学ぶところ。
 世界的な視野に立てば、シリコンバレーで生まれている技術も多く、そこではまた異なるアプローチが取られている。ここでお話したいのは、各市場によってもアプローチが異なっていて地域的な課題も違うということ。自動運転はグローバルの取り組みになっていて、多くの会社がそこに参画し技術進化に貢献している。世界のどこかに、すべての面における真の単独リーダーがいるのではなく、それぞれの国や企業に得意な分野があるのだと思う。

―― コンチネンタルのような大企業にとって、ベンチャーの強みはどこにあるとみていますか。例えば出資しているイージーマイル(EasyMile)のような企業のどこに魅力を感じていますか

レーマン氏: 出資したり買収したり、パートナーシップを組んでいたりする様々な企業があるが、すべてに通用する、ワン・サイズ・フィッツ・オール、というものはない。お話されたイージーマイルについていえば、我々のためのプラットフォームを持っていて、全体的な戦略における要素を構成している。一つのアプローチではなく、常に複数要素を組み合わせていく必要がある。
 コンチネンタル内にも3万4千人の優秀なエンジニアがいる。この人たちが持つ革新の力を咀嚼して成果につなげていくのが私の仕事。一つのベンチャー、一人のエンジニアに依拠するのではなく、集団を力とすることにフォーカスしている。

 

ミリ秒単位での対応が求められる事態もある

―― 自動運転では、ドライバーの状態を察知し、場合によっては自動で車が安全な場所に連れていくことも必要かと思います。また、先に起こることを予測し、それに何秒で対応できるか、といった点も重要になってくのではないでしょうか
 
レーマン氏: 総合力が重要になってくる。センサーだけでなくコネクティビティ、一例を挙げれば車々間やインフラとの通信といったところで様々な技術を開発して自動運転の経験を高めている。カメラでも、車の外を見るだけでなく内を見る必要もあり、これらすべて重要になる。
予測では距離と時間を考えなければならない。距離的に数秒で対応可能な状況もあるだろうが、ミリ秒単位での対応が求められる事態もある。そのときの状況に応じて対応する能力が求められる。こうした分野では(デモ車両の)CUbEやイージーマイルの車両をプラットフォームとして利用している。センサーの誤差はどれくらいで、コントローラがどれほど迅速に対応できるのか、システムはどれほど堅牢で、どのような場面であれば若干の時間を許容できるのか、といった点を見ている。実際には起こらない可能性があることも予測しないといけないのは難しいし、乗っている人の快適さも大切にしたい。すべてを考慮しながら、よいものを作っていきたい。

―― 自動運転としては、ダイナミックマップの課題もある。走行環境を認識し、地図を更新していかなければならないし、通信料もかかる。どのような取組みをしていますか

レーマン氏: 地図は我々も重要と捉え、「eホライズン」というシステムで取り組んでいる。路上にある障害物から、車からまだ見えていない領域まで、膨大なデータを取り込み、状況に応じて地図を更新する。こうしたシステムは仮想レーダーとしても機能する。今日、コネクティビティはまだ完全にはなっておらず、トンネルに入ると車の接続が切れてしまう。ダイナミックにアップデートできる地図があれば、ある程度それを信頼して、ドライバーにアドバンテージを提供することができる。

 

タイヤもエレクトロニクス世界の一環

―― タイヤもコネクトされていると聞いていますが、この領域での狙いやこれからのビジネス意図を聞かせてください

レーマン氏: タイヤもエレクトロニクス世界の一環になっていく。ここには我々の大きな優位性、そして可能性がある。現在は商用車でタイヤ圧をモニタリングしアップデートをすることができるが、将来的に考えているのは、ラバーにセンサーを組み込み、センサーを通じて過重をタイヤが計算するということ。コンチネンタルはパワートランスミッションのベルトやホースも手掛けていて、これら含めて具体的なユースケースを考えながら開発を進めている。エレクトロニクスもタイヤも持っているという点で、コンチネンタルはユニークな立ち位置にいると考えている。

―― 今後、HMIは自動運転の未来を決する可能性があると考えますが、開発思想を教えてください

レーマン氏: 運転者が今どういった状態にあるのかを予見しつつ、ドライバーセラピーといったものを提供したい。イライラしているときどのような曲を聞いたら機嫌がよくなるか、など、感情の起伏や健康状態も含めて我々が司ることができればと思う。車内にいる人の状態をよりよくするための取り組みがたくさんあると思っている。人を中心に置いてクルマができることがもっと増えてくるはず。人の健康を支援し、よりよい社会づくりを目指す意味でも、コンチネンタルの技術を世界の人に様々な形で提供していきたい。

(まとめ・執筆:友成 匡秀)

 

コメントを残す