自動車用回生ブレーキシステム市場、2026年までに248億ドル規模に


インドの調査会社BIS Researchによると、電気自動車市場は2017年から2026年にかけてCAGR28.3%で成長するという。同社の調査結果をまとめた調査レポート「世界における自動車回生ブレーキシステム市場の分析・予測:2017年~2026年」の中から一部をご紹介したい。

Date:2018/05/08

Text:株式会社グローバルインフォメーション

 

 回生ブレーキシステムは通常は減速中に消費されてしまう運動エネルギーを回収し、フライホイール、バッテリー、キャパシタなどに貯蔵しておくことで、アイドリングストップ、ヘッドライト、電子機器などの電源として利用するものである。回生ブレーキシステムは車両の燃費向上とともに温室効果ガスを規定値以下に抑えるという役目も果たしている。

 一部のメーカーでは回生ブレーキシステム導入により燃費効率が10%以上向上すると主張している。それが事実かはともかくも同システムの導入がクルマのガソリン消費量の減少につながることは間違いないだろう。特に電気自動車、ハイブリッド車において、燃費効率向上および航続距離の伸長を目的とする回生ブレーキシステムの導入が急速に拡大している。回生制御システムを導入した代表的なクルマとしてテスラのモデルS P85、BMWのE90 3シリーズとF25 5シリーズ、フォルクスワーゲンのMK7ゴルフ、 MK7ゴルフエステート/ワゴンなどが挙げられる。これらのクルマは驚くべき燃費性能を発揮して皆を驚かせた。

 排気ガスおよび燃費に対する厳しい規制、長距離航続可能な電気/ハイブリッド車に対する需要の高まり、車両性能向上を目指した取り組みなどが回生制動システム市場の拡大を牽引している。従来ブレーキと比較して優れた性能にも後押しされて同市場は堅調に成長してきた。一方で、その単価の高さ、システム統合の複雑性が成長の足を引っ張る可能性があるだろう。

 全世界における自動車向け回生ブレーキシステムの出荷台数は2016年の310万台から年率18.5%で推移し、2027年までに1670万台に達すると思われる。これは主に回生制御システムの優れた燃費性能が高く評価された結果であり、加えて製造コストが少しずつ下がってゆくことも同システムの採用に拍車をかけるだろう。このため、金額ベースで見た場合の成長率は台数ベースと比較して若干低く16.1%となる。自動車向け回生ブレーキシステムの市場規模は2016年の55億2000万米ドルから急拡大し、2026年には245億2000万米ドルに達すると予測されている。

 アイシン精機(日本)、アデロSAS(フランス)、オートリブ日産ブレーキシステム(日本)、コンチネンタルAG(ドイツ)、デンソー(日本)、イートン(アイルランド)、マレーシア・マレリSpA(イタリア)、マクスウェル・テクノロジーズ(米国)、マツダ・モーター・ジャパン(日本)、ロバート・ボッシュGmbH(ドイツ)、スケルトン・テクノロジーズ(エストニア)、Torotrak Plc(英国)、ZFフリードリッヒスハーフェンAG(ドイツ)といった企業は、自動車向け回生ブレーキシステム市場での地位を強化し、新製品の発売、提携関係の強化により事業拡大を目指している。

 自動車向け回生制御システムの市場は、バッテリー、フライホイール、油圧、ウルトラキャパシタなどエネルギー貯蓄システムによりそれぞれ異なる特色を持つ。以下は各市場の成長を蓄電の種類別に予測したものである。

 

世界の自動車向け回生ブレーキシステム市場、蓄電種類別: 2017年、2026年(100万ドル)

出典: 二次調査、専門家インタビュー、BIS Research分析による

 

 前掲の図は、2017年、2026年の世界の自動車用回生ブレーキシステム市場の市場価値を示している。2017年におけるバッテリーベースの市場規模は51億米ドルと最大で、予測期間を通してその主導的なシェアは揺るがない。より優れた充放電機能を持つウルトラキャパシタベースの回生ブレーキシステムは、最も速いペースで成長すると予測されている。ウルトラキャパシタは、低温環境下での利用、大電流かつ大容量の充放電能力などいくつかの優位点を持つ。これらの利点により、特に商用車におけるバッテリーからウルトラコンデンサーへのダイナミックなシフトがもたらされるであろう。

 回生ブレーキシステムの市場は車種によっても違った様相を見せる。例えば以下は同市場を乗用車と商用車に分けて分析したものである。

世界の自動車向け回生制御システム市場、蓄電車種別: 2017年、2026年(100万ドル)

出典: 二次調査、専門家インタビュー、BIS Research分析による

 

 

 乗用車向け市場は2017年に65億6,000万米ドル規模だが、年平均15.8%で拡大し、2026年には228億1,000万ドルに達するとされている。バッテリーベースのシステムは2016年には69.4%、2026年においても65.98%と継続的に高いシェアを維持するだろう。一方でウルトラキャパシターベースのシステムの市場規模は小さいものの、年率23.9%で急成長すると予測されている。

 商用車向け市場の収益は2017年の時点で3億780万米ドル、年平均21.3%で成長し、2026年には17億7000万米ドルに達するだろう。2016年にはフライホイールベースが53.26%と最大のシェアを占めていたが、2026年にはバッテリーベースのシステムが50.33%と過半数を占めるようになると見られている。

 クルマの電動化が進行するにつれ、回生ブレーキシステムの制御はますます洗練され、あわせて二次電池の機能向上により、今後そのエネルギー回収率はますます高くなると思われる。

(出典元となる調査レポート「世界における自動車回生ブレーキシステム市場の分析・予測:2017年~2026年」インド調査会社BIS Research発行)

 


◆このコンテンツは株式会社グローバルインフォメーションよりご寄稿いただいたものです。

 

本レポートの詳細はこちら

https://www.gii.co.jp/r/605176

 

その他のEV関連の調査レポートへのリンク:

https://www.gii.co.jp/topics/AM06_jp.shtml

 

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“自動車用回生ブレーキシステム市場、2026年までに248億ドル規模に” への1件のコメント

  1. Fauslyles より:

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