明治大学が自動運転で地方創成を支援


自動運転の普及に向けて技術・社会・経済・地域に関する横断的な研究をしようと明治大学が4月に設立した自動運転社会総合研究所(中山幸二所長)は、同大学の『アカデミックフェス2018』において記念公演とパネルディスカッションを行った。本格的に開始した同研究所の活動を紹介するとともに、研究実証活動の拠点の一つとなっている長崎県対馬市とインターネット中継を結んだ質疑応答などもあった。

Date:2018/12/05
Text & Photo:ReVision Auto&Mobility編集部 友成匡秀

 

 講演は、研究所の活動とともに産官学民の新しい地方創生の試みを紹介することが狙いで、「明治大学自動運転社会総合研究所と地域社会の持続的発展」と題して開催。

 冒頭の講演では、所長で明治大学専門職大学院法務研究科教授の中山幸二氏が、「自動運転の技術開発はすさまじい勢いで進んでいる。この新しい技術を社会実装するには、社会受容が非常に重要。研究所では課題先進国・日本の抱える社会問題に対処するため、“地方創生に寄与する”という視点を含め、法律、技術、保険、地方創生という4本柱で研究を進めている」などと設立趣旨や活動の狙いを説明した。

 続いて研究所の「技術」「法律」「保険」「地方創生」4部門の責任者を務める萩原一郎氏(研究知財戦略機構特任教授)、中山氏、中林真理子氏(商学部教授)、川井真氏(研究知財戦略機構客員教授)が、それぞれの活動の狙いと現在の取り組みについて説明。法律部門では自動運転の絡む事故を想定し、弁護士も交えた模擬裁判を実施するなどして研究を進めていることや、保険部門においては自由に情報を共有・議論する場をつくるため民間企業も含めた懇話会を設けていることなどを紹介した。

明治大学自動運転社会総合研究所の活動を説明する中山幸二所長

 

域学連携アプローチ「対馬プロジェクト」

 公演後半は、ソリューションとしての自動運転を地域社会に役立てようと、地方創生部門が、企業や学生を巻き込みながら対馬市で研究に取り組んでいる域学連携アプローチ「対馬プロジェクト」について発表。プロジェクトに携わる対馬市の比田勝尚喜市長や株式会社シダックスの志太勤一会長兼社長、対馬市医療統括官の桑原直行氏、対馬市で農業公園づくりを進めるアグリパークプロジェクト実行委員会代表の長安六氏(佐賀大学名誉教授)らが、それぞれ行政や企業、市民に近い目線などから活動や取り組みへの期待などを話した。また、プロジェクトに関わり、何度も対馬市を訪れている明治大学の学生をはじめ、立教大学や成蹊大学の学生、計16人からの発表もあった。

 最後には、対馬市豊玉町にある和多都美神社から、長崎県立豊玉高校の生徒とインターネット中継をつないで質疑応答が行われた。高校生からは「自動運転バスや自動で航行する船が実現したとしても、地元の人たちの安心を保障できますか」などの質問があり、研究所所員は「新しい技術発展に応じる形で、社会が安全になるための保険、または別の保障制度など、何らかの制度を考えていくことが重要」と応じていた。

 同研究所や明治大学などは12月14日にも公開シンポジウム「自動運転社会 ―AI社会―」を開催する。

対馬市豊玉町にある和多都美神社から高校生とインターネット中継で行われた質疑応答

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