前口上 by 清水和夫 「コンピューターとAIが運転するクルマ」


 

 自動運転は今では世界中の自動車メーカーやIT企業が熱く注目している先進技術だ。それはそうだろう。従来から開発が進められてきたドライバー・アシスト・システム(運転支援)とは異なり、人工頭脳(Artificial Intelligence)がロボットのように運転する自動運転車はクルマの概念を根本から変えてしまうからだ。このサイトでは自動運転を実用化するための技術の現状と課題、そして自動運転によってどんな社会を築くことができ私達の暮らしや街がどう変わるのかを考えてみたい。

2017/8/29

 

 自動運転への期待が高まっているのは、幾つかのの理由があるからだ。その一つは従来から取り組んできた運転支援技術で使われる様々なセンサーやコンピューターが高度化したためだ。しかもクラウドを介してクルマがインフラやクルマ同士で繋がる(コネクト)ことが可能となったことで、ますます自動運転の実用化が加速している。

 二番目の理由は自動運転が実用化したときに社会にメリットがあるためだ。日本では交通事故をゼロにすることが大儀として掲げられているが、運転が人からAI(システム)になったとき、モビリティ社会はどう変わるのか。あるいは、どんなメリットが暮らしに反映されるのか考えただけでもワクワクするではないか。

 一方で不安もあるだろう。最大の関心事は事故を起こしたとき誰が責任を負うのかという問題だ。もちろん自動で走るので、事故はAI(システム)が負うべきだが、AIを作ったメーカーなのか、AIが勝手に進化した場合、AIに手錠をかけるのか。現行の法律ではAIの法的な責任は考えられていない。そのことをしっかりと考えるべき時期なのであろう。

 このような論点で自動運転の課題をまとめてみると次のように大きく3つに分けられる。

1)技術課題
2)社会受容性
3)法的責任

 しかし、これだけでは社会にしっかりと根付かせることはできないかもしれない。

 

 自動運転という移動手段は道路や街を走ることになるので、都市や街のデザインを考える必要があるだろう。2030年以降に自動運転が可能となったとき、どんな都市や街をデザインするべきなのか考えてみると面白い。すでにドイツのシュッツットガルト市では、ダイムラーとボッシュの提案で2030年に自動運転車が走れる街にリデザインすると公約している。自動車産業がついに街づくりを提案する時代になったのだ。そこでなぜ都市(街)デザインなのか、なぜモビリティなのかを考えてみた。

 

美味しいものを一人で寂しく食べても、美味しくない。
きれいな月をみても一人ではさみしい。感動は人と共有したい。
人は人と出会うことで幸せを感じる。人は孤独に耐えられない。
人には人と出会う場所が必要。そのための移動ではないか。
それが豊かさではないか。
モビリティとコミュニティは人と社会には欠かせない。
略して「モビコミ」。

 

夢を具現化するためには自動車メーカーとユーザーの役割と責任を考えることも大切だろう。

自動運転はクルマの知能化。同時にクルマの電動化も進んでいる。
都市と街は次世代モビリティの実験室なのである。

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