SBDの車載マルチメディア最新UX評価:Audi A1


クルマとITの融合が進み、ドライバーに様々な情報や利便性を提供するコネクテッドサービスが進化を続けている。しかしながらシステムの使いやすさ(ユーザビリティ)は各自動車メーカーによって大きく異なる。SBDでは、定期的にコネクテッドカーのマルチメディアシステムのUX評価を実施しており、今年は年間を通じて欧米中の12モデルを評価する。

Date:2019/05/30

※このレポートはSBDより提供いただき掲載しています。

 

今回は、2019年2月に評価を実施したAudi A1の評価結果のポイントを紹介する。

 

まず特筆すべきこととして、Audiのエントリーグレードである A1に、A8で搭載されているのとかなり近いレベルのシステムが採用されているということである。A8と比較するとメーター部ディスプレイの解像度が低い、触覚フィードバックが実装されていない、センター部のツインディスプレイがない、等の差異は見られるものの、現行Bセグメントではかなり上級なシステムだと言える。SBDによる同システムへの総合評価では、1月に評価を実施したVW Touaregのスコアを上回り、また2017年(6車種)および2018年(9車種)の対象車種と比べても比較的上位にランクインした。

 

Audi A1の搭載機能一覧

 

下記に主な注目ポイントを記載する。

 

手書き入力

センター画面では手書き入力が可能、画面全体が使えるためタッチ操作としてのスペースは十分あり、かなり雑に描いた文字でも正しく認識される。文字は重ね書きすることも画面全体に書くことも可能で使い勝手がよい。一つ難点としては、入力操作でかなりしっかり圧力を加えないと認識されず再入力が必要となることがある点で、これは、A8では搭載されている触覚フィードバックがないことにも起因している可能性がある。

 

 

ラバーバンド機能

A8と同様に、ナビでラバーバンドという機能を提供している。これは、目的地とルートを設定した後で、ルートを変更したり立ち寄り地点を設定したいときに画面上に手でルートを自由にひける機能で、非常に迅速かつ直感的な操作が可能となっている。家電ではみられるが、自動車業界ではまだ珍しい機能である。

 

 

メーター部ディスプレイ

A1では、10.25インチのメーターディスプレイを搭載している。A8と比べるとサイズも小さく解像度もリフレッシュレートも低いが、2つの画面が用意されており(クラシックビューとマップビュー)、表示するコンテンツはナビ、ラジオ、メディア、電話、車両(トリップコンピューター・ADAS)から選択でき、非常に使いやすい。

 

 

音声認識

A1の音声認識機能は精度については申し分ないが、現時点で市場を牽引するメルセデスベンツやBMWと比較すると、ユーザーの意図を理解する能力と適切なタスクの選択・実行能力については物足りなさが残る。SMSメッセージを音声で作成する際の精度は非常に正確で、他のタスクコマンドと同様に、認識率は高くスピードも速いが、対応可能なコマンド数や理解力、柔軟性が不足していると思われ、タスク実行率には不満が残る。

BMWの次世代音声認識システム搭載モデルが近く欧州で販売予定であり(当初予定の3月をずれ込み現状での販売時期は未定)、SBDではこれもテストしレポートにまとめる予定。

 

 

「コネクテッドカーユーザビリティベンチマーク評価」
SBDではコネクテッドカーに搭載される最新のマルチメディアシステムのユーザーエクスペリエンス(UX)評価を2017年から継続して行っている。評価対象車種は、2017年に欧米市場の6車種、2018年に欧米中市場の9車種、2019年はさらに拡大し欧米中市場の12車種を予定しており、車載マルチメディアシステムのユーザビリティ(使いやすさ)を直感性や柔軟性、情報品質、表示品質などの指標に照らして評価する。

 

SBDについて
英国を本拠とする自動車技術の調査・コンサルティング会社。1995年の創業以来、日本、欧州(英国とドイツ)、米国、中国の拠点から自動車業界に携わるクライアントをグローバルにサポートしている。クライアントは自動車メーカー、サプライヤー、保険業界、通信業界、政府・公的機関、研究機関など自動車業界のバリューチェーン全体にわたる。調査対象エリアは、欧州、北米、中国、ブラジル、インド、ロシア、東南アジアなど世界各国の市場を網羅。自動車セキュリティおよびIT、コネクテッドカー、自動運転などの分野において調査を実施、各種レポートやコンサルティングサービスを提供する。>>ウェブサイト

 

 

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