自動車向けAI市場:2025年までに市場規模は265億ドルへ ―― Tractica予測


市場情報分析のリーディングカンパニーであるInforma傘下のTracticaによると、自動車向け人工知能 (AI) のハードウェア、ソフトウェア、サービスの市場規模は2025年時点で265億ドルに拡大し、2017年から2025年までの年平均成長率 (CAGR) は46.9%という予測となっている。同社がこのほど発行した調査レポート「自動車用途の人工知能(AI)市場の分析・予測」の概要をご紹介したい。

Date:2018/10/16
Text:株式会社グローバルインフォメーション

 

 自動車業界は、AIを利用して人間の行動を模倣、補強、支援すると同時に、機械ベースのシステムが持つ優れた反応時間と精密さという特徴を生かす取り組みの最前線に位置している業界の1つである。AIシステムに大きく依存する半自動運転車や全自動運転車は、今後3年から8年以内に世界中の道路に登場する見通しである。ほとんどの車両が自律走行するような世界が実現するのはかなり先になるものの、AIシステムを利用した自動運転技術はこれから15年から20年以内に広く普及し、初めて運転免許を取得しようとしている10代の若者たちは、今後確実にこの技術の影響を受けることになる。

 

 自動車に重点を置いたAIシステムの市場を発展させる原動力となっているのは、さらなる安全性と利便性という2つの要因である。市場成長を促進させる他の原動力の一つとして、他の業界と同様、自動車業界も新たな収益源を探し求めているという点をTracticaは指摘している。AIの実用化が進むなか、自動車メーカー各社は、商業サービスとAIを結びつける方法を探し求めており、ドライバーのよくある行動をAIエージェントが観察し、さまざまな商業サービスを提案するというアイデアも生まれている。例えば、ドライバーがいつも特定のレストランやガソリンスタンドを通り過ぎる場合、そのデータに基づき、これらの店舗で使用できるクーポンや割引の告知を車両に送信するといったサービスが考えられる。この種の行為には、事前にユーザーの承認を得るための手続きが不可欠だが、ユーザーが無償で得られる実質的な恩恵、例えば交通や経路変更に関するクラウドソーシング方式の機動的なサービスなどであれば、多くのドライバーは承諾し、手続きを行うであろう。

 

 さらに、ロードサイドアシスタンス、インターネットアクセス、ライドシェアリング、レンタカーなどのサービスも、ユーザーの好みや走行経路、エンターテインメントの嗜好などを学習するAIを利用して最適化し、加入型サービスを通じて収益事業化できる。

 

 Tracticaは、自動車用AIの利用事例、市場の障壁や課題、業界の主な企業などを含めた自動車用AI市場の問題や成長促進要因について分析し、以下の結論と予測を示している。

 

 自動車用AIのハードウェアやソフトウェア、サービスの市場は、2017年から2025年にかけ46.9%のCAGRで成長を続け、その規模は2025年の時点で265億ドルに達する見通しである。2017年の収益は過去最高の12億ドルに達しており、その内訳は、サービスが6億5,900万ドル、ソフトウェアが3億1,680万ドル、ハードウェアが2億4,950万ドルである。

 

(出典:Tractica)

 

 他の多くの業界と同様、この業界においても、商業活動の大半は北米、欧州、アジア太平洋という3つの地域市場に集中している。自動車業界については、この背景として複数の要因をあげることができる。

 

 まず指摘できるのが、最新の技術がこれらの先進地域で開発され、その技術を採用した車両も同じ地域で生産、そして購入されているという単純な事実である。AI技術を開発し、商業化するために途方もない額の資金を必要とするAI関連部門にとって、この単純な事実は極めて重要であると言える。現在までに製造された自動運転車の台数は極めて限られており、2025年末時点でさえ、販売されている車両全体に占める割合は極めて小さいものにとどまる見通しである。また車両価格も、現在販売されている新車の平均価格を大きく上回ると予想され、発展途上国では持続可能なビジネスモデルになり得ない。

 

 さらに、AIが実現するサービスの多くは、堅牢な高速モバイルネットワーク接続技術に依存することになる。自動運転や半自動運転の実現を後押しするAI対応のvehicle-to-grid (V2G) サービスやvehicle-to-infrastructure (V2X) サービス、およびパーソナル化され、ローカライズされた商業エンターテインメントサービスや情報サービス、小売サービスには、高速で信頼性の高い4G (あるいは5G) 接続が必要である。発展途上国の多くは、このようなネットワークを張り巡らせておらず、2025年までに整備することもできない。

 

 Tracticaは、2025年時点で自動車用AI関連の収益の54% (144億ドル) が北米地域で生み出され、2017年から2025年までの収益の累積総額は528億ドルになると予測する。一方、欧州地域での2025年の収益は65億ドル、アジア太平洋地域では49億ドル、2017年から2025年までの収益の累積総額はそれぞれ236億ドルと175億ドルという予測である。これら3つの地域は、いずれも45%を超えるCAGRで成長を続ける見通しである。

 

(出典:Tractica)


 また、Tracticaは、AIが自動車以外のさまざまな領域にも浸透しているとしたうえで、自動車市場の持続的な発展にとりわけ深く関わっているとの見方を示している。顧客が感じる新たな車両の魅力の創造は、安全性の改善、ドライバーと同乗者の利便性強化、インターネットを介した外部世界との統合などを可能にする新技術を組み込むことができるかどうかにかかっているからである。

 

 自動車メーカーは、フリート、ライドシェアリング、トラック輸送、タクシーサービスなどの商業市場と消費者市場の両方に、将来的な安全性と利便性の向上につながる自動運転車の開発成果を取り入れていく必要がある。

 

 いずれにしても、AIは効率的な方法で自動車の進歩を実現していくための鍵となる技術であり、各種の技術やサービスが中価格帯および高価格帯の車両で標準装備となり、低価格帯車両でもオプション装備になる10年後頃には、市場が成長軌道に乗るとTracticaは、予測している。

 

 


◆このコンテンツは株式会社グローバルインフォメーションよりご寄稿いただいたものです。

本レポートの詳細:https://www.gii.co.jp/r/506602

その他自動運転・テレマティクス:https://www.gii.co.jp/topics/TL53_jp.shtml 

調査レポート販売:株式会社グローバルインフォメーション 

 

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